「スパイス」という言葉の響きからイメージするのは、刺激的・美味しそう・辛そう・カラフル・異国情緒、といったところでしょうか。
スパイスというと、カレーに使うイメージで、ガラムマサラやターメリックやシナモンなどが思い浮かびそうですが、とても身近に使っているものではコショウもスパイスです。意外に思う人もいるかもしれませんが、バニラアイスのバニラもスパイスです。
日本では洋食が一般的になるまでは、それほど使われる事が少なく、スパイスといってもイメージが先行して、実際はよく知らないという感じが多いようです。
なんだか分かりにくいかも知れませんが、スパイスの事を知って料理にも使ってみましょう。
あたり前に食べてしまってるかもしれませんが、食事は日々の生活に楽しみを与えてくれています。スパイスはその食事の楽しみに、いろいろな刺激や雰囲気を演出してくれる強い味方です。
スパイスとは
スパイスについて辞書などに書いてあるのは、「熱帯地域で採れる強い香りを持つ植物などを乾燥させたもので、薬味などに使われる」というような感じです。
でも、フレッシュスパイスといわれる生のままのものもあります。
スパイスという言葉は、ラテン語で「特別な種類」といった意味を持つ「species」が由来になっているといわれています。きっとその昔、スパイスは独特で価値のあるものだったのでしょう。実際、金(GOLD)にも近い価値があったことも、国の間での争いにまでなっていた歴史があります。
一般の家庭でも昔は、スパイスを鍵の付いた箱や引き出しの中に保管していたということです。
日本では、スパイスを香辛料といいます。スパイスは、料理に独特の香りや辛味や色を付ける調味料の1つです。植物の種子や実や根茎を乾燥させたものが多いのが特徴です。
「香辛料」以外でも、「調味料」とか「薬味」とかとか「ハーブ」とか「野菜」とか、考え出すとどれもスパイスと言えるように思うし、実際その境界線は曖昧だし、使い方やイメージによって呼び方が違うだけで、大体は被っています。
ハーブはその中でも「葉」「生」「香り」といったいった要素の強いモノを呼ぶようなイメージがありますが、乾燥させたハーブもあるので定義はハッキリしにくいです。
当サイトでは、曖昧に広い意味でスパイスを取り上げたいと思います。
スパイスの香り
スパイスそれぞれの独特ともいえる香りは、植物の持つ揮発性の芳香成分だったりファイトケミカルといわれるような成分によるといわれています。
スパイスは辛いものがいくつもありますが、どれも風味が違います。これは、この香り成分によるところが大きいのでしょう。
そしてこの香りは、その国の情緒をも感じさせるのが不思議なところです。この香りを調合して掛け合わせる事で、とても深みのある独特の味を作り出す事ができます。
ミックススパイス
スパイスは単独で使われるだけでなく、その国々でスパイスをミックスしてその国特有の味や香りを作り出します。
世界各国にある、絶妙な風味を作り出すミックススパイスを分かりやすいものから少しご紹介します。
☆日本
七味唐辛子
七味唐辛子は、日本を代表するミックススパイスといえます。基本的な内容は、唐辛子・陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)・ケシの実・山椒・海苔・黒ゴマ・白ゴマなどで、生産元によって多少内容は変わります。日本ではとてもお馴染みの、うどんなどによく合う、日本独特の風味が楽しめるミックススパイスです。
☆インド
カレーパウダー
スパイスをたくさんミックスしてあるものでイメージしやすいのは、やはりカレーではないでしょうか。インドの辛みの強いカレーパウダーの基本的な内容としては…
赤唐辛子・クミン・ターメリック粉末・マスタードの種・コリアンダーの種・生カレーリーフ・ブラックペッパー・ドライジンジャー粉末などで、シナモンとグローブを加えるとよい香りが出ます。
焼き色が付くまで中火で煎り、冷めたらパウダー状にすり潰して作ります。
カレーパウダーのスパイスの内容は様々です。何を組み合わせるか、容量の割合のバランスなどで全く違うカレーの味になってきます。
ガラムマサラ
ヒンズー語では、ミックススパイスの事を「マサラ」と呼びます。他にも、香りのある料理を意味します。
ガラムマサラは、北インドの料理で使われる基本的なミックススパイスです。
2〜3種類のスパイスをブレンドしたものから10数種類ものスパイスをブレンドしたものまであります。それは、料理人の数・家庭の数だけそれぞれの作り方があるともいわれています。
ガラムマサラは料理などで、少ない量で使われることが多いです。料理の下味をつけたり、仕上げに加えたりします。
基本的な内容としては、シナモン・クミン・ローレル・コリアンダーの種・ブラックペッパー・カルダモンの種・グローブ・メース粉末、これらに他のスパイスを足したり逆に抜いたりして、マイルドなものや辛みの強いものなどのバリエーションを出します。
こちらも、カレーパウダーのように中火で煎って、パウダー状にすり潰して作ります。
サンバルパウダー
南インドのベジタリアンのブラーミン料理というのがあります。そのブラーミン料理の、豆や野菜炒めや茹で野菜、ソース作りなど、幅広く使われるとても辛いミックススパイスです。
赤唐辛子・クミン・コリアンダーの種・マスタードの種・ブラックペッパー・フェネグリークの種・ターメリック粉末・植物油・干したエジプト豆・干したエンドウ豆。これらを、炒めてよく混ぜてすり潰して作ります。
他にも、ヨーロッパ・アフリカ・中東・アジア・アメリカなどに、世界各国に様々なミックススパイスがあります。
ここでは、どちらかといえばよく耳にするイメージしやすいものを取り上げました。ミックスして使うのはちょっと難易度が高いと感じるかもしれませんが、カレーなどは身近な料理なので、少し意識して楽しんでみるのもオススメです。
スパイスとハーブの違い
スパイスとハーブって何となく違いがあるのは分かるのですが、ほとんど同じ様にも感じますが、どう違うのでしょか。
国や地域によっても違いは、まちまちのようですが、分かりやすいところをピックアップすると、ハーブは、香りや辛味や独特な味を持つ植物の、花や葉や茎を使います。スパイスは、種子や根茎などのそれ意外の部分を使っているものが多いようです。
それ以外にもハーブは、食用だけでなく、薬用・虫除けに使われると表されます。
ハーブは、ラテン語で「草」を意味する「herba(ヘルバ)」という言葉が由来だといわれています。メソポタミアなどの古代文明では、ハーブは薬として栽培され利用されていたという記録があるようです。
ミント・オレガノ・バジル・ローズマリー・タイム・パセリ、エキナセナ・ラベンダー・ジャスミンなど、イメージしやすいハーブは植物の葉っぱや花が多いですね。
ちなみに、パクチーはハーブで知られますが、同じ植物でもスパイスではコリアンダーと呼ばれます。
この違いの定義付けはそれほど必要だとは感じていませんが、「スパイス」という大きな括りというかイメージの中に、「ハーブ」があるような捉え方で良いと思います。
スパイスの保存
スパイスの保存に天敵なのは、湿度と紫外線、そして虫です。密閉性の高い容器に入れて光の届かない棚の中や気温の変化の少ない場所に保存したり、遮光性も密閉性も保温性(容器の内部の気温の変化を抑えるもの)の高い容器に入れるなどします。
ジップロックやペットボトルなどを活用するのも良いです。温度は出来るだけ低い、冷暗所が良いです。
長期保存をする場合は、常温ではカビやダニなどの虫がわいてしまう可能性が高くなります。
長期使わない分は、密閉して冷蔵や冷凍しておくと良いでしょう。海外からのスパイスなどは特に注意しましょう。クミンなどは虫の卵が付いている可能性があるので、15℃以下の低温に置いて卵が孵化しないように保存しましょう。
ただ、冷蔵庫で保存したいところですが、冷蔵庫保存には注意が必要です。取り出した時に、温度差の結露などによってスパイスが湿気を吸ってしまいます。低温で湿気が低く温度差で結露しない所で開封して使う分だけを取り出しましょう。
特にパウダーになってしまっているものは、湿気も吸いやすく、香りも早くにとんでしまいます。適正に保存すれば1年は持ちますが、香りの事を考えると半年くらいまでを目安にします。
ちなみに個人的な経験としては、瓶の中に密閉して保存して光を当たらないような所に保存しておいて、カビや虫がわいた事は今のところ無いです。基本的に長期保存という事自体がスパイスの意味を半減させると思っているので、長期保存しなくて良いように使うのが良いと思います。
そして、少量ずつ使ったり、香り高く新鮮に使いたいのであれば、ホール(すり潰す前のもの)のまま保存して、使う直前にすり潰して使う事をオススメします。
スパイスまとめ
いかがでしたか?
何だか食欲が湧いてきそうな不思議な感じや、異国情緒豊かな風味がして、心と体がワクワクして心も体も温まりそうです。
いつもの料理に、ちょっとスパイスを使ってみたり、カレーをスパイスから作ってみたり、時々日々の食事に味も見た目もカラフルにちょっと刺激的に彩ってみるのはいかがでしょうか。
ぜひ、自然の恵みを堪能して下さい。
2021.10 更新
〈スパイスの記事〉
日々の生活にスパイスを① ターメリック
日々の生活にスパイスを② クミン
日々の生活にスパイスを③ ナツメグ
シナモンの効果がすごくヤバイ!? スパイスの王様、シナモンの副作用と注意点
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