「説明なんて必要ないので、とりあえず聴き比べてみて、あとは自分なりに気分で適当に楽しんで下さい。」
というのが自分としての言葉になるのですが、もう少し掘り下げてみたことをまとめてみます。
化学的にデータを検証しているサイトなどもあり奥が深いですが、そういったコンテンツも参考にしながら、自分の経験や想いを元にアナログレコードとCDの音の違いや楽しみ方を言葉にしていきます。
20,000Hz以上の音
レコードとCDの違いでよく言われるのが、20,000Hz以上の音のことです。20,000Hz以上という音に関して、レコードとCDでどういった違いがあるのでしょうか。
生演奏は、40,000Hz(ヘルツ)まで音が出ていると言われています。
そして、CDは22,000Hzまで(※人間に聞こえない範囲の周波数をカットしている)が収録されていて、レコードには人間が聞こえないはずの22,000Hz以上の周波数が録音されているとされているといわれることが多いです。レコードでは、高級カートリッジを使うと20Hz-20,000Hzを超えるものもあるとされています。
実際、人間の耳がどこまで聞こえているのか?、というところがポイントでもありそうです。
Wikipediaの「聴覚」のページを参照してみると、
“ヒトでは通常、下は20Hz程度から、上は(個人差があるが)15,000Hzないし20,000Hz程度までの鼓膜振動を音として感じることができ、この周波数帯域を可聴域という。”
とあります。
当たり前と言えば当たり前ですが、「人によって耳から聞こえる周波数帯域は違う」といコトと、「20,000Hz程度までは聞こえる人がいる」というコトのようです。耳以外の部分で感じる音の振動の影響もあるのだと思いますが、ここでは触れずに進みます。
レコードは、理論上20,000Hz以上の音の記録や再生ができるとされていますが、レコードにはRIAAカーブ(他の種類のEQカーブのレコードも在ります)というEQカーブの国際規格があって、その再生周波数規格ではCD以上の高い周波数が出せているとはいえない場合があるようです。レコード特有の外周内周の音質差などの劣化特性を考えると、レコードの実際の再生周波数帯域は20Hz~10KHz程度と言われています。
カートリッジの周波数特性はCDを超えますが、レコードに刻まれている信号がどれ程多いのかは、優れた音源・優れたカッテイング・優れたカートリッジ・優れた再生装置次第で、「ケースバイケース」と言ったところのようです。
CDは20,000Hz以上はバチンッと切られてしまいますが、レコードは20,000Hz以下の場合も20,000Hzの場合もどちらにしてもなだらかに減衰するので、不自然さといった点での違いはあるように感じます。
音の劣化・傷
レコードは盤面に針を直接当てるため、盤面の劣化状況によって音質が変わります。針によって溝の録音面は少なからず擦り張らされていきます。他にも、レコードプレイヤーの回転安定性やカートリッジの違いなど、レコードに多くの情報が記録されているとしても、再生するまでの様々な要因によって本来持っている情報を全て出しきれないという特徴があります。
ここまで書いていると音の劣化はCDの圧勝のように感じますが、CDにはアナログマスターをデジタルに変換する際に、情報の欠損が生じる、という劣化が存在します。
音の波形を見ると、レコードは滑らかな弧を描くのに対し、CDは細かいカクカクギザギザな曲線になっています。
ちなみに、ハイレゾはこのカクカクギザギザをさらに細かくして、できるだけアナログの波形に近づけようとする技術です。
レコードにもCDにも傷がついてしまうことがあります。その場合にも違いがあります。
CDは傷がついたら再生できなくなったり(特に表面)、音が全然違うところに飛んだりします。レコードは傷が付くと「プッ」とか「ブツッ」といったノイズが出たり、違う溝に音が飛んだりします。度合いによりますが、ある程度は修復することができます。
※レコードの傷直しをしてみた記事があるので参考に見てみて下さい。
◆キズがついたレコードを修復してみた、その方法
レコードには傷が付きやすいのがデメリットですが、傷に対しての影響はマイルドで、修復もしやすいところがあります。でも、どちらが扱いやすいかと言えばCDの方が扱いやすいと思います。
個人的な音の感じ方の違い
理屈では上記のようになりますが、自分自身の感覚的に思うレコードとCDの音の違いについて少し書いておきます。
基本的にレコードの音の方が好きな自分が思うCDとレコードの音の違いとして思う点
・レコードは音が太く感じる
・レコードは音が強く感じる
・レコードは聴いていて疲れないと感じる
・レコードでも明らかにCDより弱かったり、しょぼくなっているものもある。
・CDは音がクリアに聞こえる
CDは音が分離している感じで、レコードはそれぞれの音が元気で総合的に聞こえると感じます。
CDの音とレコードの音の違いまとめ
PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像
CDはレコードの持つノイズや回転ムラ(スピードや盤の歪みや内外差 等)や劣化、といったレコードの欠点を潰した媒体と言えるのではないでしょうか。
でも、思い込みかもしれませんが、不思議とレコードの方が心地よかったりガツンと響いてくるように感じて、心が惹かれます。
CDとレコードの違いは色々ありますが、スペックの優劣とかどっちの音が良い音かとかを論じるよりも、その音質・音色の違いとか扱い方をふまえて、その時々の気分によって聴き分けて楽しめるとどっちも楽しいモノだと思います。
そもそもレコードは音を出すまでの作業に手間がかかるし儀式的です。バタバタ身支度している時にレコードをプレーヤーにのせて針を落とすよりはCDのスイッチを入れる方が楽です。でも、ゆったりとレコードに針を落として、その音を聴きながら身支度をしたりコーヒーを淹れたり、ちょっと踊ってみたりして、そういった時間の流れや生活の在り方を感じる事はとても大切なコトの1つに感じます。
余談ですが、CDではなくレコードを聴くのは、タバコではなく葉巻を楽しむ時間の使い方とも共通点があるように感じます。
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