「酵素ダイエット」や「酵素ドリンク」、「野菜から摂る酵素が体に良い」など、よく見たり聞いたりするようになった酵素。
その『酵素』とは、どういったものなのでしょうか。
それに、酵素ドリンクは飲んでも意味が無い!とか、酵素は胃で分解されたり酸で死んでしまうから食べても意味がない!とも言われています。
いったい、良いのか良く無いのか、どちらでもないのか…。酵素を体の外から摂った場合の効果なども見ていきましょう。
◇体内の酵素の働き
体内の酵素は、大きく分けて「消化酵素」と「代謝酵素」の2つがあると言われています。
大きく2つにカテゴリー分けがされていますが、その酵素の種類は3,000〜4,000種類以上存在すると言われています。それぞれが色々な働きを持っているのですが、そのことから「消化酵素」と「代謝酵素」の2つに分けることはできないとも言われています。
体が動いているのも私達が生きているのも、酵素の力があるからだとされています。ただ食べ物を食べるだけでは、酵素が無かったら体には吸収せれません。食べた物を吸収されやすい状態に変えるために、「消化酵素」が必要になります。
消化酵素でよく聞くのが「アミラーゼ」という唾液に含まれている酵素で、デンプンを分解します。酵素はいくつもの仕事はできず、他のものは分解できません。たんぱく質を分解するのは別の酵素になります。
そして、呼吸をしたり、心臓や内臓を動かしたりするために「代謝酵素」が必要です。脂肪をエネルギーに変換したり、肌の新陳代謝などはこの代謝酵素の働きです。
酵素は、消化や代謝の働きをさせるための化学反応の媒体と言われています(仲介役といったほうが分かりやすいでしょうか)。これが、酵素の働きです。だから、いくらビタミンやミネラルなどを摂っても、酵素がなかったらあまり働けません。というか、ビタミンやミネラルも酵素が働くために補酵素として必要と言われています。どちらが欠けても、人間の体の代謝機能は低下してしまいます。
それほど聞き慣れていなかった酵素ですが、これらの働きだけを見ても、人が生命を維持したり活動するために、かなり重要な働きをしているものだとわかります。しかも、酵素の働きはこれだけには止まりません。
◇それ以外の酵素の働き
食物酵素
食物酵素は体外から摂る酵素で、体内でしか作られない貴重な酵素の消費を抑えてくれて、体内の消化酵素の節約になると言われています。
食物などに存在する酵素は、野菜だけでなく海草や果物、味噌や納豆などの発酵食品といったいろいろな物に存在していて、何千という種類があります。今後も、どんどん発見されていくと言われています。
ところが、食べ物から摂る酵素はタンパク質を摂るのと変わりは無く、体内酵素の助けにはならないとも言われています。
腸内細菌酵素
酵素というカテゴリーからは、はみ出しているように感じるかもしれませんが、酵素の働きを知る上では、最も重要とも言って良いものです。腸内細菌が作り出す酵素です。
体の中の酵素では?と、思うのですが、腸内細菌はヒトではなく、共生しているということから、体外酵素と言われているようです。これもあえて分けずに、体内酵素としてひとくくりにしていることも多々あります。
ヒトの遺伝子は約22,000種類だと言われています。遺伝子とは設計図のようなものですが、そこに酵素の作り方も書かれていて、遺伝子の数が多いほど作れる酵素も多いと言われています。
そして、腸内細菌は約330,000種類(ヒトとは1桁違いますね…)の遺伝子を持っていると判明しているらしく、ヒトの約150倍になります。ヒトの150倍もそれぞれ色々な働きをする酵素が作られるということになるようです。
どういうことかと言うと、ヒトが持っていない酵素を使えるということです。それは、腸内細菌の作る酵素に助けられて生きているということになります。例えば、海草類を分解する酵素というものを、ヒトは持っていないと言われていて、海草を食べてその栄養を消化吸収できるのは、海草を分解する酵素を持った腸内細菌が、腸の中にいてくれているからだと言われています。(さらに、海草類を分解できる酵素を持っているのは日本人だけだという説もあります。)
分解以外にも、老廃物の排泄を促したり、毒素を無毒化するなど、酵素それぞれがいろいろな能力を持っていると言われています。もちろん、体にあまり良くない働きを持つ酵素もあって、それを抑えるのもまた腸内細菌酵素なわけです。そいうこともあって、これらもまた善玉菌を増やすなどして悪玉菌を抑えるのが大切だと言われている1つの理由です。
腸内細菌酵素は、酵素の中でも重要なポイントだと言えるでしょう。この酵素のサポートをしたり活発にしたりすることが、健康やダイエットにも結びつきやすそうです。
◇酵素は外から摂っても無意味?
酵素がとても大切な物だということはわかりました。そして、それをたくさん摂りましょうということで、酵素ドリンクや食べ物から摂りましょうと言われることが多くなりました。ところが、酵素は外から摂っても意味が無いともよく言われています。
それはどういうことなのでしょうか。少し整理してみましょう。
1、酵素はたんぱく質の一種なので、熱に弱いものが多いです。35℃~40℃で活性化して、50℃~60℃で「失活」と言って、働かなくなると言われてます。(酵素は生体ではないので「死ぬ」ではなく「失活」といいいます。)
2、酸性やアルカリ生などのpH値によっても活性度が変わります。基本的には酸に弱く、酸性が弱い環境でよく働きます。それでも、胃の中で消化酵素として働く酵素は酸性の中でも働けます。中には、酸に強く腸まで届く酵素も存在していると言われています。
3、1、と矛盾するようですが、酵素はたんぱく質の殻に包まれていることから、大きく分けてたんぱく質と言われているが、酵素=たんぱく質ではないとも言われています。
4、大根やパイナップルなどの一部の食べ物には食べ物を分解する酵素が含まれているので、それ自体で消化の助けにはなると言われています。
胃で一度失活しても後で働き出す酵素があると言われていたり、失活した酵素が単純にアミノ酸に分解されて栄養になるなど、無意味というわけではないのですが、酵素を直接摂り入れているわけではない、と言えるようです。
なにやら意見が分かれているように感じると思います。この酵素に対する見解の違いは、「酵素栄養学」と「分子生物学」との見解の違いのようです。
双方の見解共に否定されていないところを、ちょっと乱暴な表現になってしまうかもしれませんが、3点ほどにまとめて抜き出しました。
1、酵素には色々な性質のものがあって、胃酸で分解されるのもされないのもあるし、熱で失活しないものもある、でもほとんど外から取り入れたものは酵素そのものとして働くことは少ない。
2、酵素の活動停止状態のものでも、酵素としてではないが栄養素は含まれる。
3、酵素食品は、酵素そのものが入っているというより、体内酵素の生成を促すためなどに役にたつ。
酵素ドリンクの多くは、数十種類の食材の植物抽出エキスを、乳酸菌や酵母菌で発酵させたものです。酵素が入っているというわけではないのですが、酵素ドリンクというネーミングによって誤解があるようです。「酵素ドリンク」というより「植物発酵エキスのドリンク」という呼び方の方が誤解はされにくい呼び方といえるでしょう。
酵素ドリンクは、飲んでも意味がないわけではなく、例えば、古来からの製法で手間暇かけて発酵させた酵素飲料などは、体内酵素がすぐにでも利用出来る状態に仕上がっている低分子化した成分がとても多く、体内酵素の助けになっていると言われています。
酵素ドリンク(酵素液)の選び方の1つの目安は、無添加・原液100%のもの。もし原液100%でないものを選ぶのであれば、植物発酵エキスの含有量が多いもの、です。
どうやら、酵素自体は外から取り入れても全く無駄ではないにしても、大きな成果が期待できるわけではない。ということのようです。
かといって、全く酵素が摂れないわけでもないし、例えばスムージーなどでの野菜や果物によるビタミンや葉酸やファイトケミカルの摂取は体内での酵素の働きに間接的にプラスになるようです。
酵素は、「摂り入れる」というより、「酵素を増やしたりサポートする」のが効果的と言えるようです。
◇腸内細菌酵素を増やしサポートするのが大切
どうやら、腸内細菌酵素を増やしサポートするのが良いようです。要するに、酵素を摂るのではなく酵素を作るということが大切ということです。腸内細菌に酵素を作ってもらうなどすることです。
腸内細菌酵素の増加やサポートに繋がること
1、腸内細菌(特に善玉菌)の餌になるようなもの、発酵食品などを食べる。
味噌や納豆、ヨーグルトなどですね。あと、酵素液(酵素ドリンクや酵素飲料と呼ばれる植物発酵エキス)などです。
→■「腸内細菌のビフィズス菌5つの働き、ビフィズス菌を増やす食べ物9選!」
2、オメガ3脂肪酸などの良質な脂質を摂取する。
オメガ3脂肪酸についてはこちらの記事にまとめてあるので、参考にしてください。
→■「オメガ3脂肪酸をしっかりと摂る必要がある6つの理由!!」
→■「これでオメガ3脂肪酸が簡単に摂れる!RITANプレミアムオイル!!」
3、よく噛んで食べる。
1口あたり30回は噛もう!と、よく言われていますが、良く噛むことで唾液の分泌を促し、唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素を出します。(今のところ、体内酵素は生涯で作られる量が決まっているという根拠はないようです。)
良く噛むことで、胃腸での消化の負担を減らし、それはそのまま消化酵素などの節約や腸内環境を良くする事に繋がるので、酵素をサポートする事になります。
4、適度な運動をする。
運動不足では、腸内環境にもマイナスです。体を動かさない生活を送っているのであれば、ウォーキングやサイクリング、ヨガやダンスなど、適度な運動を心がけましょう。
→■「健康維持のためのウォーキング!効果と歩き方10のポイント!!」
腸内環境を良くして、腸内細菌がより良い状態になるようにすることが良いようです。腸内環境を良くするという点では、スムージーや蜂蜜なども良いでしょう。
グリーンスムージーや蜂蜜については、こちらの記事にまとめてありますので、参考にしてください。
→■「簡単!美味しいグリーンスムージーから始める健康スムージーの基本!!」
→■「知ってた!? 蜂蜜の驚くべき美容・健康効果12選!!」
◇酵素の効果は嘘!?のまとめ
酵素自体はものすごく素晴らしい働きをしてくれているのですが、体外から取り入れる酵素は、体内でその酵素として働くことはほぼ期待できないようです。上記の理由や、酵素自体を口から摂っても、ほとんどが失活してしまうことからも、酵素自体を食べることはそれほど重要ではないようです。
酵素ドリンクは、酵素が入っているドリンクではなく、体内酵素のサポートのための植物発酵エキスドリンクです。もちろん、商品によって内容の違いがあるので、選ぶときは添加物やエキスの量を確認しましょう。
体内酵素のサポートが大切です。そのためにもその働きの素晴らしさからも、腸内細菌酵素を増やしたりサポートするのが近道です。そのためにも、腸内環境を整えましょう。
酵素を摂るのではなく、腸内環境を整えることが、酵素の効果をより発揮する近道のようです!
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