ファーストからセカンド、そしてサードウェーブコーヒーとは
「サードウェーブコーヒー」。コーヒー好きなら耳にしたり、雑誌などで読んだりしたことがあるかもしれませんが、実はよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
オシャレな感じのコーヒーをサードウェーブコーヒーと呼んでいるわけではないです。スターバックスコーヒーは確かにオシャレですけど、そのスターバックスコーヒーは「セカンドウェーブコーヒー」とされています。
サードウェーブコーヒー、セカンドウェーブコーヒーときたら、やっぱり「ファーストウェーブコーヒー」もあったりします。何が違うんでしょうか。
コーヒーの話ではありますが、世界規模の話にまで広がる奥の深い話だという事になっていきます。
ファーストウェーブ~セカンドウェーブ
ファーストウェーブ
ファーストウェーブ、意味はそのまんま「第1の波」です。この第1の波は、19世紀後半頃のアメリカから始まり1960年代頃まで続き、コーヒーを飲むことが生活習慣化し、大量生産・大量消費されるようになった時代の波のことを指します。
流通が発達したこともあり一般家庭にまで広がり一般大衆化しますが、品質より供給の量が求められていたこともあり、味や香りなどはあまり良くなかったといわれています。
インスタントコーヒーはファーストウェーブの象徴の1つといえるでしょう。
セカンドウェーブコーヒー
1960年代頃からは、質が高く美味しいコーヒーを求める動きが起きてきます。エスプレッソやカプチーノなどが流行し、スターバックスコーヒーなどのシアトル系コーヒーショップが、質と味を追求し出しました。セカンドウェーブコーヒー、「第2の波」とはこの時代の波のことを指します。
そしてこの波に乗って、カフェラテなど、いろいろなアレンジコーヒーが生まれてきました。アレンジコーヒーの多様化はセカンドウェーブコーヒーの象徴の1つといえるでしょう。いろいろなコーヒーメニューが迷ってしまうくらい多様にできました。
このセカンドウェーブも一時期、大量供給になってきてしまいファーストウェーブのような感じになっていた時期もありましたが、最近ではサードウェーブの影響もあってか、セカンドウェーブの良さが見直され、さらにより良くなってきているようです。
日本では、この第2の波が続いているような感じですので、サードウェーブとの境目が分かりにくいかもしれません。どちらが良いのかという事ではなく、どちらも美味しいコーヒーを求める消費者により良いコーヒーを提供しようとしています。
サードウェーブコーヒー
セカンドウェーブと違いが分かりにくいですが、流行りやトレンドとしてではなく、時代の大きな流れとしての大きな違いがあります。
キーワードを挙げながらみていきましょう。
1,スペシャルティコーヒー
風味の素晴らしいコーヒーであることだけでなく、サステナビリティとトレイサビリティの観念があることが重要です。
風味と高品質
スペシャルティコーヒーは、生産者の畑にあるコーヒー豆(種子)から、消費者の手にあるカップの中までのすべての流れにおいて、一貫した栽培・収穫管理、生産処理や選別、品質管理が適正になされ、欠点豆を最大限少なくした生豆が使われること。
輸出や輸送や保管が適正になされ、欠点の少ない豆で焙煎されていること。その焙煎豆から適切にコーヒーが抽出されることで、生産地による風味や特徴が消費者のカップの中に表現されること。
これらのことを条件として消費者に届いた美味しいコーヒーのことを「スペシャルティコーヒー」といいます。
2,トレイサビリティ・フェアトレード・サステナビリティ
トレイサビリティとは、物流経路が、生産段階から消費者の手元に届くまで、又は廃棄までを追跡可能にしている事です。これによりその生産物の品質が高い状態であるという安心に繋がります。
フェアトレードとは、発展途上国の生産者から搾取する事なく生産者の自立を促す、公正な取引の仕組みの事です。生産者はより正当な報酬を受け取る事ができるので生活が安定しやすく、安心して品質の良いもの(ここではコーヒー豆)の生産に取り組みやすくなります。
サステナビリティとは、持続可能性を高める事です。企業であれば、ただ利益を追求するのではなく、社会的責任を果たし、将来においても継続可能な社会を目指す事です。
簡単にまとめますと、トレイサビリティにより、安全で質が高いコーヒー豆を提供し、そしてより価値を高めること。そしてフェアトレードにより生産者を守り、より良いコーヒー豆の生産に力を注いでもらい、それにより、搾取して終わりではなく持続可能な事業にしていくというサステナビリティで、良い循環を生み出そうという事です。
現実的にはフェアトレードのシステム自体にも問題は発生しているようですが、概念としては必要なこととして大切な要素になっています。
消費者のための品質や美味しさの追求だけでなく、それを持続し発展させるためのシステムの構築もやっていこうという動きなどがサードウェーブの象徴的な要素の一つです。
3,ハンドドリップと小規模コーヒーショップ
サードウェーブの大きな特徴の一つとして、「ハンドドリップ」があります。1杯ずつ丁寧にドリップしていきます。
このスタイルは、日本の喫茶店、古き良き日本の喫茶店の影響を受けたものです。日本の、小さな落ち着いた喫茶店のカウンターで、その店の店主が静かにゆっくりとコーヒーを淹れるこのなんとも言えないわびさびのようなものを、アメリカから逆輸入したと捉えることができそうです。
それは、サードウェイブコーヒーの代名詞の一つであるブルーボトルコーヒーの誕生ストーリーとして語られている、日本の喫茶店の風景でもあります。
4,カップ オブ エクセレンス
カップ オブ エクセレンスとは、コーヒー豆生産国でその年に収穫された豆を、厳しく審査し、最高品質と認められたコーヒー豆にのみに与えられる、とっても栄誉のある称号です。
生産地による風味と個性、自然の恵み(テロワール)・人が生み出す個性(キャラクター)を、広く認知してもらうために、1999年に世界で初めてのコーヒー国際品評会(カップ オブ エクセレンス選出)が行われました。
5,浅煎り焙煎と個性
サードウェーブは、浅煎り焙煎のコーヒーによって牽引されてきました。浅煎り豆は、酸っぱくなる、というイメージばかりが優先していて、なかなか頭の中が切り替わりませんが、浅煎りにすることで、コーヒー豆の持つ生産地や農園によるコーヒー豆の風味を引き出します。
一般的に、深煎りのコーヒー豆は苦味が強調され、浅煎りのコーヒ−豆は酸味が強調されます。浅煎りは、アメリカンだったり、上記のように酸味の強い酸っぱいコーヒーのような認識がありますが、必要な分だけ焙煎(ロースト)するということでもあります。
苦くするためにローストするのではなく、必要な分だけローストするという考えで、その豆の特徴を出し、すっきりとしたフルーティーな美味しさを表現します。
ちゃんと、扱うコーヒー豆についての知識がないと、豆の美味しさを引き出すのは難しいようです。
「コーヒー豆自体の特徴の味」と「焙煎士好みや腕」によってもコーヒーの味は変わります。「コーヒーの淹れ方」でも変わります。
自分の好みの豆と、焙煎士を見つけるのも楽しみの一つです。そして、自分で淹れて自分なりの味を見つけるのも楽しみですし、好みのコーヒーを淹れる喫茶店やカフェを探すのも楽しみですね。
1つ注意点があります。浅煎りのコーヒーは深煎りのコーヒーに比べてカフェインが多く含まれています。カフェインが気になる方はこちらを参考にして下さい。
サードウェーブコーヒーまとめ
たくさんの人々に認知され、広まっていったファーストウェーブ。味にこだわりを持ち出し、いろいろな楽しみ方を追求しだしたセカンドウェーブ。その二つの流れを経て、より洗練されつつ本質的で素朴な多様性を大切にしようとしているサードウェーブ。
サードウェーブでは自分なりの楽しみ方もたくさん見つけることができ、それによって生産者や生産物の質も向上維持しながら、それぞれがそれぞれの立場で活躍したり楽しめるようなシステムに目を向けるという、生き方や社会的な背景が透けて見えます。浅煎り豆でも深い味を感じることができるようです。
ファースト・セカンド・サードと飲み分けたり選んだり感じることで、日々の生活の中のちょっとしたコーヒータイムが、とてもクオリティの高いものになるのではないでしょうか。
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