ジャコ・パストリアスといえば、フレットレスのエレキベースを使っているのが大きな特徴です。(フレットありのエレベも使っていて、弾いている映像が残っています。練習する時はフレットありのエレベを使っていたという情報もあります。)
自分がメインで使っているエレキベースがFENDERのジャコ・パストリアス(フレットレス)モデルという事もあり、個人的にとても思い入れが強いテーマです。
ここでは、ジャコの魅力を使用していたフレットレスベースと共に紹介していきます。
ジャコ・パストリアスの音楽の歩み
ジャコの生い立ち
1951年12月1日ジャコ・パストリアス(本名:ジョン・フランシス・パストリアス三世)はペンシルバニア州ノリスタウンに生まれ、7才でフロリダのフォート・ローダーデイルに移住しています。祖父は軍楽隊でドラムを、父はシンガー&ドラマーとして生計を立てている音楽と関係の深い家庭だったようです。
祖父も父もドラムという事からか、ジャコが最初に手にした楽器もドラムだったと言われていますが、フットボールの練習中に右手首を負傷してしまいました。それは、ドラムをプレイするには致命的なダメージだったこともあり、当時ドラマーとして在籍していたバンドのベーシストが脱退したのを機にベースに転向したと言われています。
本格的にバンド活動
13歳でベースに転向してから驚異的な速さでテクニックを身につけて、17歳にとても高い演奏テクニックになっていて、フロリダでナンバー・ワンと呼ばれるほどの腕前となっていたようです。それなりになる人の多くは、こういった集中力が強いと改めて思わされます。
そして、18歳には「ウッド・チャック」というオルガン・ベース・ドラム編成のバンドを結成し、本格的な音楽生活に入っていきます。
ベースを改造 「Bass Of Doom」の誕生
出典:中村梅雀公式サイト
ジャコが使用していたベースの中に、1960年製(黒いボディーだったらしい)と1962年製ジャズベース(サンバーストカラー)があります。
黒いベースのネックやフレットをいじっていたらフレットレスの状態での音に偶然出会って気に入ったらしいです。ジャコはンバーストカラーのベースが欲しくて、19歳の時に質屋で90ドル(200ドルという説も・・・)にて1962年製のベースを買いました。そして、そのサンバーストのボディーのベースにその60年の方(黒い方)のフレットレスにしたネックを取り付けた(ボディとネックをテレコにした)そうです。そのベースが、「Bass Of Doom」と呼ばれる伝説のベースになります。
※中村梅雀公式サイト🔗・BroadPerson🔗に詳しく書かれています。
どっちも同じ血を分けっているような、フレット有と無しというお互いに別の特徴を持った2本になったわけです。
リペアマンであるケヴィン・カウフマン曰く、ジャコは抜いたフレットの溝を”デュラタイト”というウッドパテで埋め、指板全体をペティット社の”ポリ・ポクシー”というエポキシ樹脂を13回ほども塗り重ねてコーティングしたらしいです。それは、ラウンド・ワウンド弦(フラット・ワウンドではないのでギザギザに傷つく)による指板の摩耗を防ぐためです。
でもそのエポキシ樹脂は、塗り重ねた塗膜同士の密着性が悪く、弦が当たって傷がついたところから剥離してしまうという問題があったようです。そして、カウフマンは1978年にジャコの依頼を受けてこの指板部分を修理することになったそうです。彼は以前から、フレットレス指板のコーティングに最適な樹脂とコーティングの方法を研究実験を重ねて見つけていたようです。
そのエポキシ樹脂は、ファスコ社のスティールフレックスというモールド用(型に流し込んで製品を作るのに使う)のもので、弦による摩耗に耐えるだけの硬度と、最適なサウンドを出すのに必要なしなやかさも持ち合わせているものだそうです。
ちなみに、そのベースは一時期行方不明だったようです。それが今は、修復され形を変え、今はメタリカのベーシストであるロバート・トゥルージロの元にあります。そして、そのベースを使ってジャコの息子がイエロージャケッツの「A Rise in the Road」のレコーディングで使用しています。
ジャコ・パストリアスの演奏の魅力
グルーヴと速弾き
ジャコは彼特有のミュートを効かせた音で、ファンキーなプレイをするのが特徴の1つだと思います。ジャコの速弾きは、速さも驚異的ではあるけど、フレージングにも特徴があるのがジャコならではの独特の雰囲気を生み出す要因の一つだと思います。
ハーモニクス
そして、独特なフレージングにハーモニクスが絡んでくるのも大きな特徴です。
5フレットや7フレットのハーモニクスは出しやすいけど、音を出しにくい4フレットや6フレット、2フレットと3フレットの間にあるハーモニクスなどの多くのハーモニクスをフレーズの中に使っています。この出しにくいハーモニクス音を、フレーズの中で正確に鳴らすのは、左手の位置やタッチの感覚が凄いヤバいです。
それ以上にヤバいのが、左手で通常通り押弦をしながら、右手の親指等でハーモニクスポイントを軽く触って、同時に人差し指等でピッキングするという難しいことをやる、人工ハーモニクスといわれるテクニックを使ったりもしています。
Jazzとエレキベース ボーダレス
ジャコの晩年のピアノトリオ編成のアルバム「スタンダード・ゾーン」は、ジャズスタンダードを取り上げたアルバムです。JAZZスタンダードの曲を演奏するジャコを聴くことができます。
ストレートなジャズにおいて、やはりウッドベース(ダブルベース・コントラバス)が当たり前の状況でエレキベースが市民権を得たのは、ジャコの存在があってのコトだと言えるでしょう。ジャコの初ソロアルバム「ジャコ・パストリアスの肖像」の一曲目にチャーリー・パーカー(JAZZサックスプレイヤー)の楽曲である「ドナ・リー」をベースでブリブリに弾いた演奏を収録したことが象徴しているように思います。
ジャコは、既成の形式に捕らわれる事無く自由にアプローチしています。分りやすいのと敬意を表した意味合いで「JAZZベーシスト」という表現をしているように感じますが、ジャコはジャコであって、カテゴリーには当てはめにくい人の一人だと思います。既成概念に捕らわれないボーダーレスな感覚を感じます。
ジャコ・パストリアスとフレットレスベース まとめ
ジャコの存在感やジャコの使っていたベースに凄く魅力を感じていたので紹介がてらにまとめてみました。
冒頭にも書いたように、25歳の頃?(今43歳です)に、Fender Custom Shop/Jaco Pastorius Tribute Fretless Jazz Bassを購入してずっと今でも使っています。その頃はRockとかPunkとかいわれるバンドでピック引きでバキバキにフルスイングして弾いていました(上の画像がそれです)。正統なジャコファンには怒られそうな使い方かもです。
しかも、10年ほど前に、フォレットを打ち込んで、今ではもうフレットレスベースではありません。コレもまた怒られそうです・・・。でも、とても愛着を持って使っている愛おしい自分の相棒です。
ジャコの魅力や、ジャコの使っていたフレットレスベースの事が伝わったでしょうか。なにか良いヒントになったり良い気付きになればより嬉しいです。音楽最高!。
※この記事は、ネット上の情報や私物のDVDやBASS MAGAZINEの記事など参考に、個人的な考えによりまとめたものです。
ジャコのソロファーストアルバムと、個人的に良く聴くアルバムを下に紹介させていただきます。
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