凄い立派な家なのに・・・。
ボロボロすぎて・・・。
田舎すぎて・・・。
空き家を相続したけど、意外とお荷物になってしまう場合が結構あります。立地が良い場合は、住むにしても運用するにしても転売するにしても都合が良いことが多いんですけどね。意外と利用価値の無い空き家が多くて、いろいろな立場でお困りの人が多いです。
自分の経験や学びの中から、相続した空き家の活用の可能性や方法を紹介します。
持続可能な社会(サステナビリティ)を考えるとき、この『空き家』も大きなテーマです。上手に活かせれば、自分にも社会にも有益なことです。
相続した空き家を活用する方法【サステナブル ソサイエティの種】
相続したという事は、あなたに所有権が移動したことを前提にしていますので、先ずはそれを確認して下さい。相続したと思っているだけではあなたのものになってはいません。意外とそこが抜けちゃっている人もいますので注意して下さい。
相続にはそれなりに法による決まりがあります。
例えば、「お前に全部相続させる。」と言われたから自分が全てを相続する事が出来ると考えるのは少し早いです。
ということで、先ずはそこの所を抑えましょう。
持続可能な社会(サステナビリティ)を考えるとき、この『空き家』も大きなテーマです。上手に活かせれば、自分にも社会にも有用なことです。それでは本題に入っていきます。
売却
最も手間がかからずにお金にしたいなら、売却が一つの選択肢になります。その場合、建物を解体して更地として売りに出すのか、建物を残した状態で売却するのかの2択があります。どんな違いが起きるか挙げてみます。
解体後売却の場合
解体するのにはお金がかかります(自分自身で壊すと安くあがるよ、大変だけど・・・、実際に木造の50〜60坪くらいある家を自分で解体したおじいさんいたよ。そん時はちょっとびっくりした。)。お金をかけてでも解体してからのほうが売れやすいのであれば、解体してから売りに出したほうが良いでしょう。例えば、建物がボロボロ・敷地がガタガタだったり汚い場合、結局後でお金が掛かることになりがちだし、印象も悪いので売れにくくて、売れにくいからとか言われて価格を下げていくことになりやすいです。
解体しても売れないと経費だけが掛かった状態が続くので、買い手が付いたら壊して更地にしますよ。というのが良いと思います(個人的な意見ですので責任は持てないです)。
買い手側から見ると気を付ける点の一つとして、地中埋設物があります。目に見えるところにもたくさん注意点はあるけど、目に見えにくいという点で挙げておきます。
古い住宅だと地盤改良で柱状改良等をしてあることは少ないのですが、ここ20~30年前(現在2020年)からは地盤調査や地盤改良が行われています。その場合、建物は壊してあって更地でも地中に残っている場合があるので注意が必要です。逆に古めの家があったところだと、ゴミが埋まってることもたま〜にある。
売り手としては、その辺も含めて建物を再利用するか、建て替えるのか、他の用途に使うのか、ちゃんと全部解体して更地にするのか。売る段階では手をつけないで、買ってからご自分でやってくださいという考えであれば、解体せずに売却、という選択になってきます。ということで次に続きます。
解体しないで売却
建物と土地を売る、という事になります。
その場合、売り手(持ち主)としては、建物の分高く売れるのではないかという想いを持つ方も多いですが、実際はそうとは限りません。
残念なことですが今の日本においては、建物の資産価値や人の観念的な建物に対する価値は、時間が経つにしたがって無くなっていくことになっています。欧米では住宅=資産、日本では住宅=負債という場合が多いです。その為、建物の価値が売値に転嫁されるかどうかは個別の状況によって変わってきます。
買い手が、その建物を買いたいのでなければほぼ価値は無く、逆に解体しなければいけなかったり、それ以外の不要品を処分しなければいけないことになるので売れにくくなります。
そうなると、上記で書いたように、買い手が付いたら解体はこちら(売り主)でしますよ、そうでなければ、解体するかしないかは買った人の好きにしてくださいね、という選択になります。
では、買い手側からはどうでしょうか。
買ってから解体をするつもりなら、その辺の費用をちゃんと前もって考えて購入する必要があります。
建物の所有権については、移転してからのほうが安全です。ただ、移転登記にもお金はかかります。それを回避するために、建物についても売買の対象にして、「売渡証書」にも土地建物を明記して、建物滅失登記の委任状を貰っておいたりしておいたりします。それでも、所有権は売り主のままなので第三者に移転登記したり抵当権を付けたりできないわけではありません。
一般的な感覚だと、そこまで心配することないでしょ?なんですが、不動産となるとそうでもない場合が否めないのも事実です。こういった判断には個人差があるので自己判断です。リスクか登記代金のどちらをとるかです。
建物をリフォームして住む場合
空き家をリフォームやリノベーションをして自分たちで住む事であれば、売り手も買い手にも建物がどんな状態なのかを見る目が必要になります。建物の作りや傷みといったものの見立てによって、住み心地やその後の劣化の仕方やスピード、リスク、維持管理に掛かる予算が変わってくるからです。
表面的な痛みに目がいきがちですがその前に、昭和何年に建てられたのかで、適用される建築基準法が変わってくるので、先ずはその確認をしましょう。表面的なものだけなら、リフォームの時に仕上げ材を新しくする事がほとんどではあるので、そうであれば表面的な痛みより内部的なものを先ずは優先です。
という事で、躯体の構造工法は何か、歪みはどの程度か、断熱はどういった工法か、屋根の下地や仕上げ材や仕上げ方は何か、内装の仕上げ材や水回りの器具はどのようなもので配管はどんな材料でどんな配管の仕方か、浄化槽か下水か、それらの劣化具合はどの程度か等々いろいろなチェックポイントがあります。正直いって、全部を確認して自分の使用目的に対しての判断が出来るどうかは、なかなかハードルが高いと思います。
最近では、インスペクションによる評価や家歴書などによる価値の担保の取り組みが始まってはいますが、まだまだ少ないのが現状だと認識しています。こういった中古物件の価値の担保が高くできるようになっていくと(新築時の建て方も含めて)、住宅=資産の比重が少しは上がってくるのではないかな?と期待しています。
銀行は、以前はリフォームに対しては貸し付けの額が500万円くらいまでが多かったのですが、ここ5年前くらいからは1,000万円~1,500万円位までわくが広がっているので、それなりに価値が評価されだしてきたのかな?国の動きに対しての連動かな?といった感じで思っています。
社会や世界のサステナビリティを考えると、リフォームをお勧めしたいのですが、やはり建替えというのも気持ちの良いものですし、難易度もグッと下がります。新築をする場合の参考になる記事は別にありますので、そちらを参考にして下さい。
→→ハウスメーカー・ビルダー・工務店・設計事務所の違い
ちなみに、これが収益物件に転用して運用しようという事だと少し話が変わってきます。このギャップに目を付けると、無価値の建物を安く手に入れて、リフォーム等で手を加えて収益物件に生まれ変わらせて運用益を得る。といったスキームになってきます。
収益物件に変えて活用する場合
少し前までは、アパートを新築して土地を活用する、というやり方が多くありました。大手上場企業が主導していることが多く、今までの日本の価値観であるスクラップ&ビルドによる、壊す(収益上がる)&ビルド(収益上がる)のフロー型収益+その後の管理や修繕リフォームによるストック型収益のビジネスモデルです。
現在では、空き家が多く発生している事もあり、その空き家を利用した収益化に目が向けられています。無価値とされてきたものに価値与えたり、流通させることで、無価値とされていた分やそれ以上の収益が生まれる可能性を秘めています。
収益物件にするのがわかりやすく価値を生みますが、古民家を生き返らせるような潜在的に価値を生み出すようなことも含めて、どのようにして価値が生み出せるか考えて見たいと思います。
どういった価値を与える?
では、ゴミ扱いされいる空き家(住宅として)にどういった価値を与えることができるのが、いくつかピックアップしていきます。
店舗に改装して利用
喫茶店やレストランや事務所などに用途を変更して使います。立地が都市に近いとか、景観が良いとか、人が集まる場所の近くとか、立地により何に利用されやすいか、収益につながるかが影響してきます。
古民家再生
古民家は、それだけでも一冊本が書けそうですが、そもそもそれほど価値があるものと認識されていないのが現状です。とはいえ、ここ数年で少しは価値を見出されだしているのも事実です。外国人には根強いファンがいますし、建築の仕事をしている日本人の中にもその大工技術や建具屋その他の技術に対しても強い興味を示す人たちがいますし、一部のお金持ちや投資家に愛されているという側面もあります。
当時の時代背景や技術があったからこその素材や建築物であり、日本文化の象徴でもあるので、潜在的な価値は高いといえます。ある意味、歴史的建造物といえます。ちょっとしたアイデアを加えて、これを現代の社会の中で上手く活かすことができると、新しい価値の創造や収益に繋がる可能性があります。
民拍や農拍
ホテルや旅館ではなく民家に旅行者を泊めることです。自分が生活するためだけに使うのではなく、民泊施設としても活用すれば一石二鳥ですし、ただ空き家として置いておくよりは建物も傷みにくく、維持コストを垂れ流すだけよりはメリットがあるいえます。ただ、立地的に需要があるのかという事があったり、緩和されてはいますが法規制は有りますし、やる事は増えます。
インバウンドによる外国人や農業や農家生活の体験等での需要が増えています。
賃貸物件
貸家にする。空き家のまま遊ばせておくよりは、誰かに貸して使ってもらったほうが良いかと思います。ただ、そのまま借り手がつけば良いですが、内装や水回りの設備の状況によってはリフォームが必要だったりするので、初期投資が必要になるかもしれません。
貸家にするのであれば、信頼できる不動産に管理や客付けを任せることをお勧めします。
いくつか挙げてみましたが、持ち主それぞれの状況や属性の違いや空き家そのものの状況によってベストが何なのが変わってきますので、これが正解というものは分かりませんが、空き家活用の良いアイデアに繋がると嬉しいです。
まとめ
相続をしたものの、これといった用途がない場合、どうしてもただの金食いになりがちになり、何もせづに放置することになってしまうことが多いのが現状だと思います。財産が手に入ったといえば聞こえは良いですが、都会や街に近いところや住宅街などにあってほぼそのままや少額の投資で売りに出せたり貸せたりできないものは、放置されがちです。これを書いているつい先日も近所の空き家が火事になりました。
なかなか頭の痛い問題だけど、少しでもせっかくの財産を負債にしないように、眠れる黄金をゴミにしないように、持続可能な社会への貢献に、引き継いだ不動産を上手く利用できることを願っています。
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