金細工師と受領書
金貨や銀貨などの貨幣の時代にはお金の成り立ち②でも書いたように、金貨や銀貨などの純度や質などを調べる事が必要でした。
その貨幣を調べるのは金細工師たちでした。
金細工師の所に貨幣を持っていくと、金細工師の所には金庫がある家に置いておくと盗難に会いやすいなどの理由で、そのまま預けておく事が多かったようです。その時に金細工師は手数料を貰い、金貨などを預った証として受領書というものを渡していました。
その預り証が紙幣の始まりだといわれています。
感の良いあなたならピンときたかもしれませんが、同じ金細工師の所の受領書があったら金庫の中の金貨を動かさずにお金のやり取りができるのが分かると思います。
例えばAさんがBさんの店で買い物をする時に、Aさんは受領書を金細工師の所に持って行って金貨を引き出します。そして、Bさんに支払う。→ → → Bさんはその金貨を金細工師の所に預けに行きます。アレ?金貨動かさなくて良くない?
と、なったわけです。
支払いと預け入れの金額の調整さえできればできますね。そうやって、次第に金貨を使って取り引きをしないで直接お互いに受領書をやり取りする事になってきます。
その受領書が、紙幣の役割をするようになっていきました。
金貸しの始まり
上記のように紙幣で取引を始めたところ、金細工師の所に預けられてある金貨は眠ったままになりました。
ここで金細工師は気が付きます。
「金貨を預けている人達が一度に残額を引き出しに来なければ、このたんまりある金貨を担保にして紙幣を発行して、その紙幣を誰かに貸し付けて手数料や利子を貰おう。
これで、お金がお金を産むぞ‼︎」
こうして、13世紀のイタリアで銀行のようなものが始まったと言われています。
これ・・・よくよく考えると・・・、担保になっている金貨は金細工師のお金ではありません。勝手に使っている事になります。横領といわれるものです。
横領なんですけど、バレないようにやっていたら、もうなくてはならないものになってしまっていたのか、非難されることはなかったと言われています。
ただ、お金が銀行が発券する紙幣になって時間が積み重ねられるうちに、これまでのように国がお金をコントロールするということができなくなってしまいました。そして、大きくなった銀行を国でもどうしようもなかったのかもともと仲良しだったのか分かりませんが、近代になって政府と銀行の間で取引がされました。
その取引とは、政府が必要とする資金を常に提供する代わりに「銀行がお金を発行し管理する権利を得る」というもので、17世紀のスウェーデンで初めて行われ、そのカタチをモデルにしてあの有名なイングランド銀行が誕生しました。
その後、同じような仕組み(特権)の銀行が各地に誕生していくことになります。
イングランド銀行の事を、詐欺を行うために設立された会社組織で歴史上最大の詐欺集団だという人も少なからずいるようです。
♦お金の成り立ち③紙のお金・見えない価値・銀行の始まり【相場】のまとめ
いかがでしたか?
銀行ができた理由や銀行の在り方などなかなか興味深いものだったのではないでしょうか。この辺から、金融という言葉の響きが鈍い輝きを放つ質感みたいなものが感じられるような気がします。
その後、金本位制度の崩壊というストーリーにつながっていきます。
〈注意〉
お金の歴史は各地域でそれぞれに違いがあります。ここでは簡単に流れをまとめた内容になっておりますので、正確な事を知りたい場合は専門書などでご確認ください。
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